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相続人みんなで話し合いをしても合意ができないときはどうすればいいですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年9月5日

1 相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には家庭裁判所で手続きをする

相続人全員で話し合いをして遺産の分け方を決める遺産分割協議がスムーズにできるのが一番ですが、分け方の折り合いがつかなかったり、一部の相続人が感情的になって話し合いすらできないということはよくあります。

このような場合、管轄の家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることで、調停ないし審判で遺産分割をすることができます。

2 遺産分割調停

遺産分割調停は、家事審判官(裁判官)と調停委員で組織される調停委員会が、申立人、相手方それぞれから言い分を聞き、裁判所を介した話し合いで遺産分割ができるようにする手続きです。

遺産分割調停の申立ては、申立書等を管轄の家庭裁判所に提出することによって行います。

具体的には、遺産分割調停の利用を希望する相続人(申立人)が、申立人以外の相続人の全員を相手方として申立てをします。

申立ての際には、申立書のほか、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票または戸籍の附票、遺産の存在や評価額等に関する疎明資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預金通帳の写しなど)などを提出します。

遺産分割調停の申立てが受付けされると、家庭裁判所が調停の期日を決め、各相続人に対して期日の呼び出しをします。

調停期日では、調停委員を交えて、各相続人が様々な事情や自分の主張を伝えながら、話し合いを行います。

調停委員は社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人(原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人)から選ばれるとされています。

調停で話し合いがまとまれば、「調停調書」が作成され、これを用いて財産の名義変更手続きなどの相続手続きをすることができます。

3 遺産分割審判

遺産分割調停で話し合いを続けても、相続人間で合意が成立する見込みがない場合(話し合いが平行線のままであったり、連絡が取れない相続人がいたりするなど)、調停は不成立となり、家庭裁判所の審判手続きへ移行します。

審判手続きとは、家事審判官(裁判官)が法律に従って、裁判所として遺産分割の判断をする手続きです。

初めから遺産分割の審判を申し立てることもできますが、裁判所の判断で、まずは調停手続きに付されることが多いでしょう。

審判の場合には「審判書」が作成され、審判が確定したあとは、審判書と確定証明書を用いて相続手続きをします。

もし、審判に不服があるときは、2週間以内であれば、審判をした家庭裁判所に即時抗告を申し立て、裁判所の判断を争うことができます。

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