遺産分割協議の内容を守らない人がいる場合、どうすれば良いですか?
1 遺産分割協議の内容を守らない人がいる場合の対処法
⑴ 遺産分割協議書を用いて手続ができる場合
例えば、あなたが不動産を取得するとか預金を取得する等の取得条項がある場合には、相手方が内容を守らない場合であっても、法務局や金融機関の手続をご自身で行うことが可能ですので、「自ら手続する」という方法を取ることにより、遺産分割の内容を実現することが可能です。
⑵ 遺産分割協議書を用いて手続ができない事項について、相手方が内容を守らない場合
例えば、遺産分割協議書に、あなたに対して「不動産を相手方が取得する代償として、金1000万円を支払う」との代償金支払条項があるにもかかわらず、相手方が代償金を支払わない場合には、訴訟で支払いを請求し、支払わせるという方法があります。
確定判決が出てもなお、相手が支払わない場合には、強制執行をすることにより1000万円を取得することができます。
代償分割の場合には通常相手方は不動産等の遺産を取得していますので、当該遺産を差し押さえることにより、泣き寝入りとなるリスクを低くすることができます。
2 約束を守らない可能性がある人がいる場合には、可能な限り、遺産分割協議書を用いて手続ができるようにしておく
例えば、預金や株式が1億円あり、あなたと相手方の取得割合が2分の1ずつである場合には、①全てあなたか相手方が取得して、取得者以外に5000万円の代償金を支払う方法と、②預金のうちA銀行はあなたでB銀行は相手方、株式のうちC株式はあなたでD株式は相手方等、具体的に財産を分けていく方法があります。
相手方が約束を守らない人であるリスクが高い場合には、①ではなく②の方法にしておき、あなた自身が手続を行うことにより、遺産を取得できるように手当をしておくことが必要です。
たしかに、上述したように、約束を相手が守らない場合には強制的に回収を図ることはできますが、弁護士に依頼をして訴訟解決をする場合のコストや時間を考慮すると、可能な限り、遺産分割協議書に基づいて遺産を取得できるようにしなければならないといえます。