遺産分割協議書の書き方(不動産の場合)
1 遺産分割協議書の記載方法
遺産分割協議書では、それぞれの相続人がどの財産を取得するかを記載します。
たとえば、「●●は●●を取得する」というように、それぞれの相続人が取得する財産を決めていくこととなります。
遺産分割協議書は、遺産の名義変更や払戻を行うために作成されます。
したがって、遺産分割協議書は、法務局や金融機関が有効と認める記載方法を用いる必要があります。
不動産については、遺産分割協議書を作成後、法務局で登記申請を行い、相続登記を行うこととなります。
それでは、不動産については、どのような記載方法を用いれば、法務局での登記手続を行うことができるのかについて説明していきます。
2 不動産を特定して記載する方法
このような場合、法務局は、遺産分割協議書上、不動産がきちんと特定されているかどうかをチェックしてきます。
一般に、土地については、遺産分割協議書に所在、地番を記載する必要があるとされています。
建物については、遺産分割協議書に所在、家屋番号を記載する必要があります。
これらは、土地、建物の登記簿謄本に正確な情報が記載されていますので、登記簿謄本の記載を間違えずに転記する必要があります。
例えば、所在については「●●市●●町●●」、地番については「●●番」と記載されているので、これを正確に転記することとなります。
なお、登記簿謄本の右上部分には、それぞれの土地、建物について、不動産番号が記載されています。
この不動産番号でも、土地、建物の特定ができますので、遺産分割協議書に不動産番号のみを記載した場合でも、相続登記を行うことができます。
もっとも、不動産番号は13桁の数字の羅列であるため、通常相続人は、不動産番号だけでは、どの不動産が名義変更の対象になるかが判別できないかと思います。
このため、実際には、遺産分割協議書に不動産番号だけを記載して不動産を特定することは、あまりありません。
また、土地の登記簿謄本には、所在、地番以外にも、地目、地積が、建物の登記簿謄本には、所在、家屋番号以外に、種類、構造、床面積が記載されています。
これらの記載については、省略しても不動産が特定されているものと扱ってもらえます。
3 「すべての不動産」との記載について
遺産分割協議の結果、特定の相続人がすべての不動産を取得するとの合意がなされることがあります。
このような場合には、遺産分割協議書には、「●●はすべての不動産を取得する」と記載しても問題ありません。
このような記載であっても、法務局で相続登記を行うことができます。
また、ある不動産は●●が取得し、その他のすべての不動産は●●が取得するとの合意がなされることもあります。
この場合も、「●●は●●以外のすべての不動産を取得する」と遺産分割協議書に記載すれば、法務局で相続登記を行うことができます。